ロールtoロール方式での製造工程における剥離帯電・接触帯電による発火の危険性
ロールtoロール方式とは?
ロールtoロール方式とは、食品業界や医療業界、電子デバイス向けの特殊フィルムを製造する際に用いられる製造工法です。
ロール状に巻いた特殊フィルム基材を印刷・コーティング・熱処理などの加工設備を備えた搬送ラインに通して、最後に巻取りロールに巻き上げるように構成されています。
ロールtoロール方式は、様々なフィルム製造にて採用されている一方、剥離帯電・接触帯電してしまう恐れがあり、長期間帯電することで特殊フィルムの機能性不良や発火による火災等を引き起こす可能性があるため、注意が必要です。

剥離帯電・接触帯電することで発生するトラブル
ロールtoロール方式にて静電気が発生してしまうと特殊フィルムの機能性不良や発火リスクが高まります。フィルム製造時に静電気が帯電してしまう主な要因は、剥離帯電と接触帯電の2種類があります。
剥離帯電・・・接触している物質を剥離(分離)する時に発生する帯電現象
接触帯電・・・2つの異なる物質が接触し、電子が移動する際に発生する帯電現象
特殊フィルム基材に静電気が帯電してしまうとフィルムに塵・ホコリなどのゴミが付着してしまい、下記のようなトラブルの発生に繋がる恐れがあります。

またフィルムは、一定の帯電量を超えると電気放電を引き起こします。電気放電の規模は、静電気の密着度や帯電量、気温・湿度などの影響を受けます。
フィルムは、静電気を帯電することで塵・ホコリを吸着します。塵・ホコリは、空気中の湿度が高い場合、電気を通しやすい状態に変化するため、湿度が高い環境下で放電した場合、塵・ホコリに引火してしまう恐れがあり、火災や爆発に繋がりかねません。
フィルム製造におけるトラブルを最小限に抑えるには?
フィルム基材に静電気が帯電してしまう事で様々なトラブルの発生に繋がります。そのため、フィルム製造業者は静電気の帯電を抑制させるために対策を施す必要があります。
一般的な帯電防止対策は、大きく3つあります。
①帯電防止フィルムの使用
帯電防止フィルムとは、基材に対して帯電防止コーティングを施した特殊フィルムです。フィルム基材の表面抵抗値をコントロールし、フィルム基材の帯電量を低減させることが可能です。
また、帯電防止コーティングは、フィルム全体に帯電防止効果を付与することで、経時劣化を抑制し、長期間に渡り効果を持続させることが可能です。加えて当社では、フィルムの種類に応じて最適な帯電量を保つことで放電リスクの抑制にも努めております。
②静電気除去装置の使用
ロールの巻出し部分・巻き取り部分それぞれの近くに除電装置を近づけ、イオンを放射することでフィルムの帯電を防止することが可能です。
③クリーン環境下でのフィルム製造
フィルム製造環境に漂う塵・ホコリをある程度抑えることで、放電時の発火リスクを抑制することが可能です。
当社では、クリーンクラス10,000環境下により特殊フィルム製造を行っております。
>>クリーンクラス10,000環境下で特殊フィルム加工に対応
特殊フィルムへの機能性付与なら当社まで
工業フィルム選定なびを運営する大三紙業は、コーティング技術・加工技術を用いて特殊フィルムの製造・提案を得意としています。これまでにも、「フィルムにこのような機能を付けることができないか?」という多数のお悩み・ご要望にお応えしてきた実績があります。
当社はこれからも、多種多様なお悩み・お困りごとに対して、様々な機能性付与をはじめ、製造工程間の品質低下や発火リスクなどのトラブルを最小限に抑えながら、お客様に特殊フィルムを提供させていただきます。
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